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熱心になると焦げますよ・・・
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こよみ
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意外と更新してるのね?
トラック何とか・・・
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・・・つづき


12月23日

Τは電車の中で昨日もらった手紙を読み返しながら、ユミちゃんとの待ち合わせの場所へと向かった。

天気は生憎のくもり空。

品川駅の近くのカフェが待ち合わせの場所だった。
無造作にダッフルコートのポケットに手紙をしまい、窓際の席に座った。


いつものように15分早く着き、いつものように待ち合わせ時間から15分待った。


「ごめ~ん!遅刻魔だね私・・・」


笑顔でユミちゃん登場。
Τも気持ちを切り替えて、親友との会話を楽しんだ。


「私ね、行きたいところがあるの!」


・・・・・


「Τ君、それともどこか行きたい所ある?」


Τもいろいろと考えてはきたが、昨日の手紙でモチベーションが落ちて、正直これといってしっくり来るところが無かった。


「浅草に行きたい!前に連れてってもらったでしょ?あのカフェにまたいきたいなぁ。」


カフェといっても恐らく爺さんの代からあるような純喫茶で、ただ常にオールディーズが流れているようなところだった。


「あそこ気に入ってくれたんだ?」


「また連れてってくれない?」


Τはうなずくと立ち上がって


「よし!行こう!」


とコートを手にとって店を出た。

上野から地下鉄に乗って浅草に着くと、先程よりも雲が重く、空が低く感じられた。


「とりあえず、ランチにしない?」


二人はこれまた大正時代からずっと営業しているような洋食屋へ入った。
この店は昭和初期の文豪もこよなく愛したという正真正銘の老舗で、メニューの書き方まで時代を感じさせるものだった。


お腹も満たされ二人は浅草寺を抜け、花屋敷の前に立った。


「入らない?」


「そだね!」


天候も影響してか、園内はガラガラの貸しきり状態だった。

有名なジェットコースターに乗るのにも、わざわざスタッフを呼びにいくような感じであった。


「これがΤ君の演出だとしたら、素敵なクリスマスプレゼントね!」


「そうだよ!今日のために貸しきったんだ。」


「じゃあ、あの家族連れは?」


「エキストラ!!!」


そんな会話もあり、楽しい時間は過ぎていった。


夕方になり、辺りも暗くなり、少し小雨がパラついてきた。

二人は目的のカフェに入った。


「どう?順調にいってる?」


「どっちが?」


「どっちともかな・・・?」


受験の事、シュンとの事。


「受験は恐らくK家(ユミちゃんの名字)の思惑通りだよ。多分来年は夕飯とかのお世話になってるよ。」


「で、もう一つの方は?・・・そういえば私、この間渋谷でΤ君の彼女見かけたんだ。リョウがさ、あのコ
凄くいろんな情報持ってるでしょ?『あのコがΤ君の彼女よ』って、、とってもきれいなコね?」


「一回はもうだめになったと思ったんだ。だけどお互い受験だし、今は暫く逢わない事にしてるんだ。」


Τは完全に手紙の影響を受けていた。
そして、いつかまた楽しかったときのようにシュンと向かい合えることも信じていた。

ユミちゃんはカフェオレボールの中をスプーンでかき混ぜながら、


「そうなんだぁ、私ね・・・」


何かを言おうとして突然黙り込んだ。


「どうかしたの?」


横のジュークボックスを見つめているユミちゃんの瞳は少し潤んでいた。


「私ね・・・Τ君の存在を2年前からあたりまえのように思ってたの。だからず~っと一緒にいる友達?ううん、家族みたく割切ってたのね・・・」


Τは黙ってユミちゃんを見つめていた。


「この間、ふと今までの出来事やあなたの優しい目を思い出して考えてたの・・・そしたらなんか掛替え無いものに思えてきたの。ズルイでしょ?今まで散々あなたの気持ちを裏切ってきたのに・・・」


ユミちゃんは泣き出してしまった。
それでも嗚咽しながら続けた。


「凄く彼女に対して焼もちを焼いている自分に気付いたの。あなたに彼女が出来たと聞いたときどうしようもない喪失感に居ても立っても居られなくなったの。」


そういうと、ユミちゃんは再び黙り込んでしまった。
BGMにはオーティス・レディング『(シティン・オン)ザ・ドック・オブ・ザ・ベイ』が流れていた。
Τも暫く黙って曲を聴いていたが、彼の耳には、聞きなれたこの楽曲も雑音にしか思えなくさせるほど考えを巡らせていた。


「・・・ありがとう。僕にとってこんなに嬉しいことはない。馬鹿げているかも知れないけど、僕は将来を想像するときいつも傍らにはユミちゃんがいたんだ。そしてそうなることをいつも強く求めていたんだ。けど・・・」


遮るようにユミちゃんは言った。


「好きなの。Τ君の事が本当に好きなの。本当はずっと好きだったの。あなたが作っている私への理想に私自身適わない事に気付いたとき、あなたの気持ちに応える自信がなくなってしまったの。私が一番Τ君との関係を壊したくなかったのかもしれない。」


知らず知らずにΤも頬を伝う何かを感じ取った。


「・・・けど、今はユミちゃんの気持ちに応える事が出来ない。一年前の今日僕は君への気持ちに句点を打ってしまったんだ。」


Τ君、君はなんて事を言っているんだ!
そこに男の意地は必要ないだろう?
今君の気持ちを一番理解している女性が、君の目の前で涙を見せながら告白をしているんだ!
君は愚か者だ!
若すぎるのにも程がある。
どうしようもない馬鹿だ!


結局店を出ると、いつものようにユミちゃんの最寄の駅、蒲田まで送っていった。
二人沈黙の車中。

別れ際、ユミちゃんは出来る限りの笑顔を作った。
そして、


「よう!親友!送ってくれてありがとな。」


と言い、手を伸ばしてきた。
Τも情けない笑顔を作り、その手を握った。


それから一ヵ月後、Τと僕は上の大学への優先試験を受けた。
(そう僕らの高校は上の大学への推薦枠が少ない為、とても簡単な優先試験で進学率を上げていたのだった)

Τは酷い風邪を引いていた。

そして結果は・・・・・


・・・・二人とも見事に不合格。
僕らよりも成績の悪かった奴も普通に受かっていた。
結果を見て僕は、


「Τよ、まだ僕らには本番が残されているんだ!もう一ヶ月頑張ろうぜ!」


なんて言ってはみたものの、この試験に落ちるくらいではもう何も期待は出来ないであろう。

確かにΤは当日風邪を引いていた。
熱も39度近くあったらしい。
しかもボーダーラインから1点足らないだけだったらしい。
残酷な先生の発表だった。

二人とも夜間部に行く権利は得られた。

Τは合格発表をみると、僕のそんな発言が耳に入る様子も無く、黙って記念館のほうへ歩いていった。
Nが駆け寄っていって必死にΤを捕まえた。
自殺をするとでも思ったのらしい。
ただΤは電話が掛けたかっただけだった。


「ユミちゃん、結局僕は優柔不断で何をやっても中途半端だから、きっとこれは当然の報いなんだよ。あの後だってユミちゃんの気持ちに対して心の中では飛び上がるほど嬉しかったのに、変な意地張って拒んでしまったんだ。楽しいはずの未来も、ささやかな君との幸せも一度ここでリセットしなくちゃいけないんだ。」


「Τ君、私の気持ちの根本は変わらないと思うよ。それが愛とか言われると正直戸惑うけど、根本の好意はず~っと変わらないよ。」


Τは力無く感謝を告げると電話を切った。


もちろん僕達はその後の受験に失敗した。
ことごとく志望校から見放された。
そして、シュンは見事現役でK大学に合格し、同じ大学に通うこととなったDと付き合い始めた。
エクはモデルになって、雑誌でよく見かけるようになった。
Τは何故か物怖じして連絡も取っていない。


3月末には予備校の入塾試験を受けていた。
夜間部に行く権利を捨てて、もう一度志望校を試してみることにした。

晴れて浪人生!


一浪して僕らは大学生になった。

結局Τは僕らの高校の上の大学を受けることなく、東京郊外の大学のフランス文学科に通った。


その後ユミちゃんとΤは1~2度逢ったが、Τからユミちゃんのもとを離れるように音信不通になった。

Τは大学院でもないのにいつまでもチンタラと大学に通っていた。
大学5年の12月のある日、Τものとに一通の絵葉書が届いた。


『親愛なるΤ様、
 来春私は結婚します。
 いつまでもあなたは記憶の友です。』

3行の文章。
そして、ジュークボックスの脇にクリスマスツリーのある絵葉書だった・・・・・・・


・・・・・・
・・・・・・

回想録と称して、書き始めて3ヶ月以上たった。
僕は、自分をΤと置き換えて第三者的な見方で自分自身を見つめ直すことが出来た。
あまりにも稚く、あまりにも愚かだった自分を恥じる気持ちもあるが、それ自体が今の僕を形成している。
これを書いた僕は、あの頃の僕の傍観者であり、またよき理解者であった。


ユミちゃんはきっと今幸せに生きているだろう。
どこかで逢うことがあったなら、手を差し伸べてまた握手を交わそう。
きっと彼女もそうしてくれると信じたい。

思い出としてみれば、いつまでも未練がましくなるが、だからと言って今の僕の生き方に不満はない。



《FIN》

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あああ・・・
なんとなく久々に読みたくなって読んでみたの・・・

書いてる人の事を考えずに読んだら、涙してしまったわ・・・不覚!
とみひ~
2007/10/05(Fri)21:53:55 EDIT
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