こよみ
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最古だよ!
2007/01/13 (Sat)
中二の初夏・・・
スポーツ盛んな我が中学で『帰宅部』に所属すると内申に響くので、仕方なく入った『剣道部』でした。
小学校5年生まで地元の道場に嫌々ながらも通っていたという事もあったし、その道場で教えていた恩師が中学の顧問の一人という事もあって一番入りやすかったんです。
妙に熱心にその恩師が勧誘してくるな・・・って思っていたら、実は3年生が引退してしまうと男子部員は4人になってしまうらしい。
という事は、団体戦に出られないんですよ。
女子は20人位いたから、一人くらい男子として出ちゃえば良いのに!
なんて思ったりもしたけど・・・(そんな男子チックな娘もいたしね)
問題は初恋の『さっちん』が剣道部に所属していたという事・・・
あの『毒入りショコラ事件』の後から気まずくなって、ロクに口も聞いていない。
中二になって同じクラスになったものの、僕らの間には周りから見ても解かる程大きな壁が存在していたのだ。
剣道部に入部する事の決まったある日、珍しくさっちんが声を掛けてきた。
「ねぇ、T君もそろそろ大人になったら?同じ部活で嫌われてるのも嫌だから・・・」
あれ?
僕は嫌っていないよ!
むしろ夜君のことを考えては「何でこんなことになったのだろう?」と過去を思い返す日々だよ。
お互いの誤解がなんとなく解け、僕らは固い握手をした。
その後は握手をしながら下校したものだ・・・
そんな剣道部、余裕で「レギュラーぢゃん!」なんて思って入ったのも束の間、竹刀なんて触らせてももらえません。
やることといったら毎日一人で学校の周りをランニング・・・
剣道部らしいことといったら、新品の剣道着ぢゃ恥ずかしいって事で、毎日毎日そのインディゴブルー色落ち具合を楽しむくらい・・・
それで終わっておけばよかった・・・
「秋の交流戦が始まるからそろそろ本格的な練習でもするか?」
の後が大変だった・・・
一度防具をつけたら練習が終わるまで絶対に外しちゃいけない。
面すらも取らせてもらえない。
人数も少ないし、『かかり稽古』は休む事も出来ない。
何度面をしたままリバースしたものか・・・
剣道部の臭さはそういう背景もあるんですね?・・・はい。
いくら経験者といっても所詮は小学生レベル。
そこで顧問は大胆な事を考えた。
「大将は『胃薬』でいく!」
シャカデリック!
どよめく場内・・・どの場内なんだ?オーディエンスなんていないものさ!
「先鋒、次鋒、中堅で確実に勝ちを狙っていこう!」
なるほど・・・所謂『捨て大将』って訳ね?
でも何故かそんな言葉にいつも「絶対明日辞めてやる!」って言っていた僕の何かに火が点いちゃったんですよ。
その日からひとり居残りで毎日稽古。
熱意が伝わり、恩師は僕の背の小ささと欠点活かした戦法を考え出してくれた。
「お前は先ず持久力がない・・・」
おい!先生男子でよかったよ・・・そんな事女子に言われたら無茶苦茶傷つくぢゃん!
「だけど、その背の小ささと俊敏さを活かして試合を30秒で勝つ方法を伝授しよう!」
何?格好いいぢゃん!教えて教えて・・・
「はじめの掛け声と同時に意表を突く『出甲手』だ!」
なんか格好悪いぞ・・・でも僕には時間がない、毎日毎日『出甲手』の秘密特訓。
いよいよ交流試合。
剣道というものは面白く実力ある選手には何かしらの称号がつく。
『剣豪大熊』
『業師坂本』
『抜き胴の高柳』
『超中学生級矢澤』・・・等など
交流戦は団体戦と個人戦があり、団体戦は顧問の思惑も外れ序盤で勝ちを取りにいけず2回戦敗退。
僕もそんな負け試合に必殺技を出す事もなかった。
個人戦・・・
周りから見たら僕こそが雑魚なのだろうが、それ以外の雑魚どもを次々と下しあれよあれよとベスト8入り。
準々決勝の相手は小学校の頃同じ道場であった『業師坂本』。
実は彼には練習試合を含めても一度も勝った事はなかった。
試合前恩師が僕に耳打ちをした。
「例のやつでいけ!」
僕は大きく頷き試合へと向かった。
「はじめ!」
の合図とともに繰り出す坂本の面・・・透かさず繰り出す僕の『出甲手』・・・カウンター攻撃である。
面を打つ時にピクンと反応する竹刀の先を見逃してはいけない!
・・・・・・・・・見事一本!
その後は攻撃意識を持ちながらも巧く逃げ切ってどうにか勝利。
僕はこのために剣道をやってきたんだ!
崩れ落ちる坂本に近づき僕は言った。
「稽古をする時、いつもシュミレーションでお前と戦っていた・・・けどやっぱりお前は強いよ!」
初めて彼を上から見下ろした瞬間だった・・・(酷いね?)
準決勝では高柳に同じく『出甲手』二本で勝ち、いよいよ決勝である。
決勝の相手は『剣豪大熊』。
一年の時から県大会の常連である彼は、流石であった。
瞬時に僕の戦法を研究し、なかなか懐に入らせてくれない・・・
結局、重たい『面』を二本も喰らい見事敗退・・・
その日から僕は『打倒大熊!』を心に決め練習に打ち込んでいった。
練習の成果もあり、非公式の練習試合では大熊だけでなく、その中学の大将でもあった超中学生級の矢澤にも勝つことが出来た。
中三最後の市大会・・・
それまでの戦歴から僕にも称号がついていた。
『出甲手の胃薬』
なんともダサい響きだが、一目置かれることに悪い気はなかった。
本番に弱い僕は、あっさり個人戦で一回戦敗退・・・
ノーマークの一年生にやられたのだ。
しかも『出甲手』で・・・
試合後彼は僕に言った。
「僕は胃薬先輩のデータをいろんな面から研究しました。そこで一つの癖を発見したんです・・・30秒以上見合っていると打って来るって・・・」
ダメぢゃん!僕・・・ていうか君凄いね!!
そんな訳で僕の中学校剣道生活は幕を閉じました。
最後に同じ学校の部員でのトーナメントをやることになりました。
男女混合で・・・
決勝の相手は、なんと『さっちん』・・・
僕は『出甲手』を封印し、彼女への敬意をこめて苦手な『抜き胴』で勝利しました。
放課後、校舎裏でキスをしようと血走ってした僕に、さっちんは『平手打ち』で一本勝ち!
笑いながら、
「高校生になってからね・・・」
と言って僕の前から走って去っていった・・・
僕は都内の高校に通い、さっちんは県立高校に行き、二人は疎遠になった。
風の噂でさっちんに子供が出来たと聞いたのは、18歳の夏の事であった・・・
スポーツ盛んな我が中学で『帰宅部』に所属すると内申に響くので、仕方なく入った『剣道部』でした。
小学校5年生まで地元の道場に嫌々ながらも通っていたという事もあったし、その道場で教えていた恩師が中学の顧問の一人という事もあって一番入りやすかったんです。
妙に熱心にその恩師が勧誘してくるな・・・って思っていたら、実は3年生が引退してしまうと男子部員は4人になってしまうらしい。
という事は、団体戦に出られないんですよ。
女子は20人位いたから、一人くらい男子として出ちゃえば良いのに!
なんて思ったりもしたけど・・・(そんな男子チックな娘もいたしね)
問題は初恋の『さっちん』が剣道部に所属していたという事・・・
あの『毒入りショコラ事件』の後から気まずくなって、ロクに口も聞いていない。
中二になって同じクラスになったものの、僕らの間には周りから見ても解かる程大きな壁が存在していたのだ。
剣道部に入部する事の決まったある日、珍しくさっちんが声を掛けてきた。
「ねぇ、T君もそろそろ大人になったら?同じ部活で嫌われてるのも嫌だから・・・」
あれ?
僕は嫌っていないよ!
むしろ夜君のことを考えては「何でこんなことになったのだろう?」と過去を思い返す日々だよ。
お互いの誤解がなんとなく解け、僕らは固い握手をした。
その後は握手をしながら下校したものだ・・・
そんな剣道部、余裕で「レギュラーぢゃん!」なんて思って入ったのも束の間、竹刀なんて触らせてももらえません。
やることといったら毎日一人で学校の周りをランニング・・・
剣道部らしいことといったら、新品の剣道着ぢゃ恥ずかしいって事で、毎日毎日そのインディゴブルー色落ち具合を楽しむくらい・・・
それで終わっておけばよかった・・・
「秋の交流戦が始まるからそろそろ本格的な練習でもするか?」
の後が大変だった・・・
一度防具をつけたら練習が終わるまで絶対に外しちゃいけない。
面すらも取らせてもらえない。
人数も少ないし、『かかり稽古』は休む事も出来ない。
何度面をしたままリバースしたものか・・・
剣道部の臭さはそういう背景もあるんですね?・・・はい。
いくら経験者といっても所詮は小学生レベル。
そこで顧問は大胆な事を考えた。
「大将は『胃薬』でいく!」
シャカデリック!
どよめく場内・・・どの場内なんだ?オーディエンスなんていないものさ!
「先鋒、次鋒、中堅で確実に勝ちを狙っていこう!」
なるほど・・・所謂『捨て大将』って訳ね?
でも何故かそんな言葉にいつも「絶対明日辞めてやる!」って言っていた僕の何かに火が点いちゃったんですよ。
その日からひとり居残りで毎日稽古。
熱意が伝わり、恩師は僕の背の小ささと欠点活かした戦法を考え出してくれた。
「お前は先ず持久力がない・・・」
おい!先生男子でよかったよ・・・そんな事女子に言われたら無茶苦茶傷つくぢゃん!
「だけど、その背の小ささと俊敏さを活かして試合を30秒で勝つ方法を伝授しよう!」
何?格好いいぢゃん!教えて教えて・・・
「はじめの掛け声と同時に意表を突く『出甲手』だ!」
なんか格好悪いぞ・・・でも僕には時間がない、毎日毎日『出甲手』の秘密特訓。
いよいよ交流試合。
剣道というものは面白く実力ある選手には何かしらの称号がつく。
『剣豪大熊』
『業師坂本』
『抜き胴の高柳』
『超中学生級矢澤』・・・等など
交流戦は団体戦と個人戦があり、団体戦は顧問の思惑も外れ序盤で勝ちを取りにいけず2回戦敗退。
僕もそんな負け試合に必殺技を出す事もなかった。
個人戦・・・
周りから見たら僕こそが雑魚なのだろうが、それ以外の雑魚どもを次々と下しあれよあれよとベスト8入り。
準々決勝の相手は小学校の頃同じ道場であった『業師坂本』。
実は彼には練習試合を含めても一度も勝った事はなかった。
試合前恩師が僕に耳打ちをした。
「例のやつでいけ!」
僕は大きく頷き試合へと向かった。
「はじめ!」
の合図とともに繰り出す坂本の面・・・透かさず繰り出す僕の『出甲手』・・・カウンター攻撃である。
面を打つ時にピクンと反応する竹刀の先を見逃してはいけない!
・・・・・・・・・見事一本!
その後は攻撃意識を持ちながらも巧く逃げ切ってどうにか勝利。
僕はこのために剣道をやってきたんだ!
崩れ落ちる坂本に近づき僕は言った。
「稽古をする時、いつもシュミレーションでお前と戦っていた・・・けどやっぱりお前は強いよ!」
初めて彼を上から見下ろした瞬間だった・・・(酷いね?)
準決勝では高柳に同じく『出甲手』二本で勝ち、いよいよ決勝である。
決勝の相手は『剣豪大熊』。
一年の時から県大会の常連である彼は、流石であった。
瞬時に僕の戦法を研究し、なかなか懐に入らせてくれない・・・
結局、重たい『面』を二本も喰らい見事敗退・・・
その日から僕は『打倒大熊!』を心に決め練習に打ち込んでいった。
練習の成果もあり、非公式の練習試合では大熊だけでなく、その中学の大将でもあった超中学生級の矢澤にも勝つことが出来た。
中三最後の市大会・・・
それまでの戦歴から僕にも称号がついていた。
『出甲手の胃薬』
なんともダサい響きだが、一目置かれることに悪い気はなかった。
本番に弱い僕は、あっさり個人戦で一回戦敗退・・・
ノーマークの一年生にやられたのだ。
しかも『出甲手』で・・・
試合後彼は僕に言った。
「僕は胃薬先輩のデータをいろんな面から研究しました。そこで一つの癖を発見したんです・・・30秒以上見合っていると打って来るって・・・」
ダメぢゃん!僕・・・ていうか君凄いね!!
そんな訳で僕の中学校剣道生活は幕を閉じました。
最後に同じ学校の部員でのトーナメントをやることになりました。
男女混合で・・・
決勝の相手は、なんと『さっちん』・・・
僕は『出甲手』を封印し、彼女への敬意をこめて苦手な『抜き胴』で勝利しました。
放課後、校舎裏でキスをしようと血走ってした僕に、さっちんは『平手打ち』で一本勝ち!
笑いながら、
「高校生になってからね・・・」
と言って僕の前から走って去っていった・・・
僕は都内の高校に通い、さっちんは県立高校に行き、二人は疎遠になった。
風の噂でさっちんに子供が出来たと聞いたのは、18歳の夏の事であった・・・
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